2014年7月14日に全国ロードショーのスタジオジブリ最新作「思い出のマーニー」についてまとめてみました。
監督は「借りぐらしのアリエッティ」以来、約4年ぶりに米林宏昌さんが務められます。
原作はイギリスの作家ジョーン・ロビンソンさん(1910-1988)で、原題は「When Marnie Was There」。
イギリスを舞台に、少女アンナが、美しい湿地にある屋敷に暮らす金髪の少女・マーニーと出会い、不思議なひと夏を過ごすファンタジー作品です。
原作:ジョーン・G・ロビンソン
脚本:丹羽圭子・米林宏昌・安藤雅司
監督:米林宏昌
作画監督:安藤雅司
美術監督:種田陽平
音楽:村松崇継
舞台
原作では、物語の舞台がイギリスだったが、ジブリ版では舞台が北海道に移される。
ジブリ長編アニメの舞台に北海道が選ばれるのは、今回が初めて。
今回「思い出のマーニー」を担当する西村義明プロデューサーは、
「北海道はジブリがずっと避けてきた場所なんです。理由は空がピーカンじゃないから。宮崎さんは、ピーカンの空を描きたい人なんですね。最初、宮崎さんは瀬戸内を(『思い出のマーニー』の)舞台にしたらどうかって言っていました。でもイギリス特有の、薄ぼんやりしたちょっと寒い雰囲気は、やはり北海道だろうと」
と語られました。
ちなみに「思い出のマーニー」は、宮崎監督が「自分では生涯映画化はできない。難しすぎる」と感じ、米林監督に原作を託されたそうです。
あらすじ
心を閉ざした少女・杏奈は、遠く離れた海辺の村に、ひと夏を過ごしにやってくる。
そこには海が広がっていて、美しい湿地があり、杏奈はその湿地が好きでよく行ってたが、対岸に見覚えがある“何か”がある。それは古ぼけた洋館、屋敷で、その屋敷に既視感を覚えた杏奈が村人にたずねると、「あれは湿っ地(しめっち)屋敷というんだ。もう何10年も人が住んでいない」という。
杏奈はその屋敷にすごく好奇心がわいて、ある日ひとりでボートに乗って屋敷を目指した。すると誰もいないはずの屋敷の方から声が聞こえた。
「こっちに来て。ロープをこっちに投げて」
声の方には、金色の髪に青い瞳、白いネグリジェ、裸足の姿の少女マーニーがいた。
誰も住んでいないはずの湿っ地屋敷に住んでいたマーニーは、一体何者なのか。そして、湿っ地屋敷とは何なのか。マーニーと杏奈がひと夏を過ごして分かち合った秘密、そして、たどり着いた真実とは何なのか。
プロローグ
この世には目に見えない魔法の輪がある。
海辺の村の誰も住んでいない湿っ地屋敷。
心を閉ざした少女・杏奈の前に現れたのは、青い窓に綴じ込まれた金髪の少女・マーニーだった。「わたしのことは秘密よ、永久に。」
杏奈の身の次々と起こる不思議な出来事。
時を越えた舞踏会。告白の森。崖の上のサイロの夜。
ふたりの少女のひと夏の思い出が結ばれるとき、杏奈は思いがけない”まるごとの愛”に包まれていく。あの入江で、わたしはあなたを待っている。
永久にーーー。あなたのことが大すき。
キャスト
【杏奈】 高月彩良
【マーニー】 有村架純
【頼子】 松嶋菜々子
【大岩清正】 寺島進
【大岩セツ】 根岸季衣
【老婦人】 森山良子
【ばあや】 吉行和子
【久子】 黒木瞳
また、サプライズキャストとして「思い出のマーニー」の舞台でもある北海道出身の劇団ユニット「TEAM NACS」森崎博之さん、安田顕さん、戸次重幸さん、大泉洋さん、音尾琢真さんらが出演されます。
監督・米林宏昌 コメント
今から2年前、鈴木さんから一冊の本を手渡されました。
「思い出のマーニー」
宮崎さんも推薦しているイギリス児童文学の古典的名作です。
鈴木さんはこれを映画にしてみないかと言いました。読んでみて思ったのは“映画にするのは難しそうだな”ということでした。
文学作品としてはとても面白く読んだし、感動しました。
ただ、アニメーションとして描くのは難しい内容でした。
物語の醍醐味はアンナとマーニーの会話です。
その会話によって、ふたりの心に微妙な変化が生じていきます。
そこが何より面白いのですが、どうやってアニメーションとして描けばいいのか。
少なくとも僕には面白く描ける自信がありませんでした。でも、原作を読んでからずっと頭に残るイメージがありました。
美しい湿地に面した石造りの屋敷の裏庭で、
手を取りあって寄りそっているアンナとマーニー。
月光に照らされながらワルツを踊ってもいいかもしれない。
ふたりの気持ちが繋がるその傍らにはいつも、
美しい自然と、心地良い風と、昔馴染みの音楽があります。
僕はイメージ画を何枚か描いているうちに、
この映画に挑戦してみたいと思うようになりました。物語の舞台は北海道です。
12才の小さな身体に大きな苦しみを抱えて生きる杏奈。
その杏奈の前に現れる、悲しみを抱えた謎の少女マーニー。
大人の社会のことばかりが取り沙汰される現代で、
置き去りにされた少女たちの魂を救える映画を作れるか。僕は宮崎さんのように、この映画一本で世界を変えようなんて思ってはいません。
ただ、『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』の両巨匠の後に、
もう一度、子どものためのスタジオジブリ作品を作りたい。
この映画を観に来てくれる「杏奈」や「マーニー」の横に座り、
そっと寄りそうような映画を、僕は作りたいと思っています。脚本・監督 米林宏昌
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